まず結論
冬は「朝・入浴・脱衣所・睡眠」の4つのシーンで血圧が大きく揺れやすい季節です。ただし、全部を完璧に整えなくても大丈夫。まずは8つのチェックポイントの中から、自分が弱いと感じるところを1〜2個選んで整えるだけでも、負担を減らす一歩になります。
本記事はこれまでの「冬の血圧・睡眠セーフティ」記事を1本にまとめた総まとめ・保存版ガイドです。気になるところから読み進めてみてください。
※本記事からリンクする一部の記事には広告リンクを含みます。
・冬は「朝・入浴・脱衣所・睡眠」で血圧が変動しやすく、ヒートショックなどの事故リスクも高まる
・まずは8つのチェックポイントのうち、できそうなものから1つずつ整える
・高値が続く/症状がある場合は、自己判断を続けずに早めに医療機関へ相談する
なぜ起こる?
日本では、冬季に高血圧の悪化や入浴中の事故が増えることが報告されています。寒い外気温・冷えた脱衣所から、暖かい浴室・湯船、さらに水風呂や冷気にさらされることで、血圧が大きく上下しやすくなります。夜間は冷えやトイレで目が覚めやすく、睡眠の質が落ちることも血圧コントロールに影響します。
また、日本高血圧学会のガイドラインでは、冬は夏に比べて朝の家庭血圧が高くなりやすいことが指摘されています。加えて、冬の入浴中の事故やヒートショックについても、消費者庁などから繰り返し注意喚起がなされています。つまり、冬は「数字が上がりやすい」「事故が起こりやすい」季節だからこそ、生活シーンごとの対策が重要になります。
体の中で何が?
寒さを感じると、体は「熱を逃がさないようにしよう」として交感神経(体を活動モードにする神経)が優位になり、血管がぎゅっと縮みます。すると血圧は一時的に上がりやすくなります。逆に、お風呂で体が温まると血管が広がり、いったん血圧は下がりやすくなります。
ところが、冷えた脱衣所→熱いお湯→水風呂や冷気といった温度差の大きい環境を何度も行き来すると、血圧がジェットコースターのように上下してしまいます。さらに、睡眠不足や夜間頻尿、飲酒・過食などが重なると、自律神経のバランスが乱れ、夜から朝にかけての血圧が不安定になります。
血管や心臓にとって負担になるのは、「いつも少し高め」の状態だけでなく、短時間に大きく変動することです。今回の総まとめでは、この変動をできるだけ小さくするためのチェックポイントを整理します。
今日からできる冬の「8つのチェックポイント」
ここでは、冬の血圧・睡眠セーフティを4つのシーン×2つずつ=合計8つに整理しました。すべてを一度に行う必要はありません。まずは自分が「弱いかも」と感じるチェックを1〜2個選ぶことから始めましょう。
① 朝の血圧・起床ルーティン
- チェック1:起床後1時間以内に、トイレのあと・朝食前・服薬前に座って家庭血圧を測っているか(朝1〜2回)。
→ 詳しい測り方は:
冬の血圧が高い理由は“測り方”にあった!薬剤師が教えるJSH2025準拠の家庭血圧の測り方
- チェック2:1日ごとの数字に一喜一憂するのではなく、7日間の平均値で見ているか。
→ 「冬だけ血圧が高い」背景と基準値は:
冬だけ血圧が高いのはなぜ?薬剤師が教えるJSH2025準拠の安全対策と正しい測り方
② 入浴前後・サウナの安全チェック
- チェック3:湯温は41℃以下・つかる時間は10分以内を目安にし、飲酒後や極端な寝不足のときは無理をしていないか。
→ 具体的な目安は:
ヒートショックを避ける冬の入浴術|湯温41℃以下・10分以内の目安とは
- チェック4:サウナや水風呂を「限界チャレンジ」にしていないか。5〜8分×2セット+段階的なクールダウンなど、安全な入り方を意識しているか。
→ サウナ派の方はこちら:
40代男性の高血圧リスク|『ととのう』前に命を守るサウナ安全フロー【薬剤師が解説】
③ 脱衣所・温度差のコントロール
- チェック5:脱衣所や浴室の寒さを「我慢」で乗り切っていないか。温湿度計でざっくり20℃前後を目安にしているか。
→ 温度の「見える化」の考え方は:
40代男性の入浴安全術:脱衣所20℃&湯温41℃以下
- チェック6:暖房器具は石油ストーブやガスストーブを避け、転倒OFF・防滴などに配慮した小型電気ヒーターを選んでいるか。
→ 安全性を重視した選び方は:
冬の脱衣所を安全に暖める|ヒートショック対策とヒーター選び
④ 夜の睡眠・夜間頻尿との付き合い方
- チェック7:寝室が寒すぎたり暑すぎたりしていないか。室温・寝具・パジャマで「寒くて目が覚めない」環境を整えているか。
→ 冬の睡眠と血圧の関係は:
冬になると眠れない?夜の室温・夜間頻尿・血圧の関係を薬剤師が解説
- チェック8:夜間頻尿が心配で水分を極端に減らしたり、寝酒で寝つきをごまかしたりしていないか。
→ 「水分の時間割」と向き合い方は:
夜間頻尿の正しい向き合い方|水分の“時間割”と30分ウォーキングで睡眠を守る
・上腕式家庭血圧計
┗ 朝・就寝前・必要に応じて入浴前後の血圧を「数字」で残せると、主治医への相談もしやすくなります。詳しい選び方と商品例は、
冬の血圧が高い理由は“測り方”にあった!薬剤師が教えるJSH2025準拠の家庭血圧の測り方
で解説しています。
・脱衣所用デジタル温湿度計+小型電気ヒーター
┗ 温度と湿度を見える化し、「20℃前後を目指す」指標になります。安全性に配慮したヒーターの選び方は、
冬の脱衣所を安全に暖める|ヒートショック対策とヒーター選び
をご覧ください。
※具体的な商品リンク(楽天市場・Yahoo!ショッピングなど)は各詳細記事に掲載しています。価格や在庫は日々変わる可能性があります。
比較表:家庭用血圧計・脱衣所ヒーターの選び方(準備中)
□ 朝は起床後1時間以内に、自宅で血圧を測っている
□ 入浴は湯温41℃以下・10分以内を意識している
□ 脱衣所・浴室の「一番寒い場所」を1カ所でも暖めた
□ 夜の室温・寝具・夜間頻尿対策を見直し、「眠りやすさ」を優先した
□ 気になる期間は、家庭血圧と体調メモをセットで残している
よくある勘違いと注意点
- (誤解1)「冬だけ高いけど、季節のせいだから放置でいい」:冬の上昇は珍しくありませんが、放置してよいとは限りません。家庭血圧の記録と7日平均で傾向を見て、心配な場合は早めに主治医へ相談しましょう。
- (誤解2)「1回だけ高かった=すぐ薬を増やすべき/やめるべき」:単発の数字だけで自己判断せず、数日〜1週間の記録と体調・生活の変化(睡眠・飲酒・ストレスなど)もセットで見ることが大切です。薬の調整は必ず医師と話し合って行いましょう。
- (誤解3)「数字を見るのが怖いから、あえて測らない」:測らない方が不安が大きくなることもあります。まずは週に数日・朝だけなど、負担の少ない頻度から始めても構いません。数字に一喜一憂しすぎず、「傾向を見るツール」と考えてみてください。
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冬だけ血圧が高いのはなぜ?薬剤師が教えるJSH2025準拠の安全対策と正しい測り方
— 冬の血圧の「基準値」と考え方を整理したい方に。
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冬の血圧が高い理由は“測り方”にあった!薬剤師が教えるJSH2025準拠の家庭血圧の測り方
— 朝と就寝前の家庭血圧のつけ方を詳しく知りたい方向け。
・
冬になると眠れない?夜の室温・夜間頻尿・血圧の関係を薬剤師が解説
— 夜の冷えや夜間頻尿が気になる方はこちらもセットで。
まとめ
1)冬は「朝・入浴・脱衣所・睡眠」で血圧が揺れやすく、事故リスクも高まりやすい。
2)8つのチェックポイントのうち、自分が変えやすいところから1〜2個選んで整えるだけでも、一歩前進になる。
3)高値が続く・症状がある・不安が強いときは、自己判断を続けずに早めに医療機関へ相談する。
「完璧を目指す」のではなく、「冬のあいだ無理なく続けられる安全ライン」を一緒に探していきましょう。
1)上腕式家庭血圧計 — 朝・就寝前・必要に応じて入浴前後の血圧の変化を確認でき、主治医への相談材料にもなります(詳しくは「家庭血圧の測り方」記事内で紹介)。
2)脱衣所用デジタル温湿度計+小型電気ヒーター — 「脱衣所20℃を目指す」目安づくりに役立ちます(安全な選び方は「脱衣所を安全に暖める」記事内で解説・商品紹介)。
※商品は一例です。ご自身の体調・家の構造・生活スタイル・予算に合わせて比較・検討してください。
Q&A
Q1. 冬だけ血圧が高い場合、どのタイミングで受診すべき?
(回答例)冬場は血圧が少し高めに出ること自体は珍しくありませんが、朝の家庭血圧で135/85mmHg以上が続く、あるいは頭痛・めまい・胸の痛み・息苦しさ・片側のしびれなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。受診の際には、数日〜1週間分の家庭血圧と体調メモを持参すると診察がスムーズです。
Q2. 8つもチェックポイントがあると、何から手をつければいいか分かりません…。
(回答例)すべてを一度に整える必要はありません。まずは「自分の生活で一番変えやすいところ」を1つ選ぶのがおすすめです。例:朝の測定習慣がないなら「週3日・朝だけ測る」から、脱衣所がとくに寒いなら「温湿度計を置いて20℃を目指す」から、といった具合に、小さな一歩を優先してみてください。
出典
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。
症状が続く・急激に悪化する場合や不安が強い場合は、自己判断で対応を続けず医療機関を受診してください。
商品・サービスの利用により得られる効果には個人差があります。

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