まず結論
「血圧の薬を始めるには、まだ早い気がする」「でも、高めと言われて少し不安…」という40代の方は少なくありません。最新のガイドラインでは、診察室血圧の目標値は「130/80 mmHg未満」とされていますが、薬を始めるかどうかは、数字だけでなく家庭血圧の記録・症状・年齢・合併症などを総合して主治医が判断します。一人で悩むよりも、まずは1〜2週間分の家庭血圧とメモをそろえて受診・相談することがいちばんの近道です。
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・最新のガイドライン(2025年版)では、診察室血圧の目標値は「130/80 mmHg未満」が基本の目安
・ただし薬を始める・増やすかは、年齢・合併症・家庭血圧・症状などを主治医と相談して決める
・受診の前に1〜2週間分の家庭血圧と体調メモをそろえると、無駄な不安や「様子見」の時間を減らしやすい
私の勤務する薬局でも血圧手帳を無料でお配りし、書き方のサポートをしています。
「すぐに受診の時間が取れない」という方は、まず薬局で血圧の測り方や手帳のつけ方を相談するところからでも大丈夫です。
なぜ「まだ薬は早い」と感じるのか?
40代で血圧が高めと言われると、多くの方が次のような不安を抱きます。
- 「薬を始めたら、一生やめられないのでは?」
- 「まだ40代だし、生活習慣で何とかならないの?」
- 「病院に行くほどではない気もする…」
一方で、日本高血圧学会の最新の高血圧管理・治療ガイドライン2025では、血圧管理の目標として、診察室血圧で130/80 mmHg未満を基本とすることが示されています(家庭血圧ではおおよそ125/75 mmHg未満が目安)。
この「目標値」はあくまで治療後に目指す値であり、「この数字を1回でも超えたらすぐ薬」という意味ではありません。ただし、
- 診察室血圧が140/90 mmHg以上が続く
- 家庭血圧が135/85 mmHg以上が続く
といった状態は、高血圧としてきちんと評価・相談した方がよいゾーンです。ここを「まだ大丈夫」「体質だから」と自己判断で放置してしまうと、気づかないうちに血管や心臓への負担が積み重なってしまいます。
体の中で何が起こっている?
血圧が高い状態が続くと、血管の内側の壁に強い圧力がかかり続け、少しずつ傷ついていきます。その結果、
- 血管の壁が分厚く・硬くなる(動脈硬化)
- 心臓が高い圧力に逆らって血液を送り出すため、負担がかかる
- 脳・心臓・腎臓などの臓器にじわじわとダメージが蓄積する
という変化が起こります。怖いのは、これらがほとんど自覚症状なしに進むことです。「頭が痛くないから大丈夫」「フラフラしないから平気」という自己判断は、残念ながらあてになりません。
そのためガイドラインでは、生活習慣の改善と並行して、必要に応じて早めに薬物治療を検討することが推奨されています。特に、
- 糖尿病・腎臓病・脂質異常症などを合併している
- 喫煙・肥満・家族歴などのリスクが重なっている
といった場合は、「まだ40代だから様子見でいい」とは言い切れません。
今日からできる準備と受診のステップ
ここからは、「いきなり薬を飲む・飲まない」の前に、今日からできる具体的なステップを「前・中・後」で整理します。
- 前:受診前にやっておきたいこと
- 家庭血圧を1〜2週間分つける
・朝:起床後1時間以内、トイレのあと、朝食・服薬前に座って1〜2回測定し、平均を書く。
・夜:就寝前(飲酒や入浴直後を避けて)1〜2回測定。
・手帳には「日付・時間・上の血圧・下の血圧・脈拍・一言メモ(寝不足・飲酒・体調など)」を記録します。
→ 家庭血圧のくわしい測り方は、冬の血圧が高い理由は“測り方”にあった!JSH2025準拠の家庭血圧の測り方で解説しています。 - 気になる症状を書き出しておく
・頭痛、めまい、動悸、息切れ、胸の痛み、むくみ、夜間のトイレ回数など。
・「いつから」「どんなときに」「どのくらいの頻度で」起きるかをメモしておくと診察がスムーズです。 - 生活習慣の振り返りメモを作る
・飲酒(週何日・1日どのくらい)
・喫煙の有無
・運動(週の回数・内容)
・睡眠時間と寝つき/途中覚醒
・仕事や家庭でのストレス状況
これらは薬を始めるかどうか以前に、生活改善で調整できるポイントとして重要です。
- 中:診察当日のポイント(主治医への伝え方)
- 血圧手帳をそのまま見せる
数字を「いいところだけ」抜き出すのではなく、生の記録をそのまま見せてください。
・平均的にはどのくらいか
・特に高くなる時間帯はあるか(朝だけ高い、夜だけ高い など)
・飲酒・睡眠・ストレスとの関係がありそうか
を一緒に確認します。 - 不安なことをメモから読み上げる
例えば、
・「まだ薬は早いのではと感じている一方で、この数値が続いていて不安です」
・「生活習慣でどこまで頑張るべきか知りたいです」
・「飲み始めたら一生なのか、将来減らせる可能性があるのかも教えてほしいです」
といった形で、気持ちの部分も含めて率直に伝えてOKです。 - 疑問はその場で1つだけでも質問する
外来はどうしても時間が限られます。質問を1つ〜2つに絞って優先順位をつけると、満足度が上がります。
(例)「薬を始める場合と始めない場合で、将来のリスクはどのくらい違いますか?」
(例)「まずはどのくらいの期間、生活習慣の改善を頑張ってみるのが目安ですか?」
- 後:受診後にやっておきたいこと
- 医師の説明を“自分の言葉”でメモし直す
・「目標とする血圧の範囲」
・「次回受診までにやっておくこと(減塩・運動・体重管理など)」
・「薬を始める/続ける場合の注意点」
を、ご自身の言葉で書き直すことで理解が深まります。 - 薬が処方された場合は、薬局でもう一度整理する
薬の飲み方・副作用・飲み忘れ時の対応などは、薬剤師に遠慮なく質問してください。
私の薬局でも、血圧手帳のつけ方や、薬と血圧の関係の振り返りを一緒に行っています。
「忙しくて再受診まで間が空きそう」という場合も、薬局で途中経過を相談してもらうと安心感が違います。 - 3か月〜半年ごとに“見直しのタイミング”をつくる
・血圧は目標に近づいているか
・生活習慣(食事・運動・睡眠・ストレス)はどう変わったか
・薬の副作用や飲みづらさはないか
を、主治医と一緒に見直していきます。
状況によっては薬の減量や変更、場合によっては中止が検討されることもありますが、その判断も必ず医師と相談して行うようにしましょう。
・上腕式家庭血圧計
┗ 上腕(うで)に巻くタイプで、測定値が見やすく、家庭血圧の記録がしやすいものがおすすめです。朝・就寝前の血圧を数字で残しておくことで、受診時の相談材料になります。
・血圧手帳(紙 or アプリ)
┗ ノートでも構いませんが、日付・時間・血圧・脈拍・メモが書きやすいフォーマットだと続けやすくなります。薬局で無料配布していることも多いので、聞いてみてください。
※リンク先は販売サイト(Amazon・楽天など)の場合があります。価格や在庫は日々変わる可能性があります。
比較表:家庭用血圧計の選び方(準備中)
□ 朝と就寝前の家庭血圧を1〜2週間分記録した
□ 気になる症状(頭痛・めまい・動悸など)をメモに整理した
□ 生活習慣(飲酒・運動・睡眠・ストレス)の現状を書き出した
□ 受診時に主治医へ聞きたいことを1〜2個に絞ってメモした
□ 薬局や看護師さんなど、医師以外にも相談できる窓口を把握した
よくある勘違いと注意点
- (誤解1)「薬を始めたら、一生やめられない」
血圧の薬は長期的な付き合いになることが多いのは確かですが、「必ず一生続ける」と決まっているわけではありません。生活習慣の改善や体重減少などにより、将来的に減量や中止が検討されることもあります。ただし、自己判断で中断すると、血圧が急に上がる危険もあるため、必ず主治医と相談しながら進めましょう。 - (誤解2)「若いから、高めでも薬はいらない」
40代でも、家庭血圧が135/85mmHg以上で続く場合や、糖尿病・腎臓病などの合併症がある場合は、年齢に関係なく慎重な評価が必要です。「若いから大丈夫」ではなく、将来の脳・心臓・腎臓のリスクを減らすための“投資”と考えてください。 - (誤解3)「自覚症状がない=治療は不要」
高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、症状がないまま進行することが多い病気です。症状の有無ではなく、血圧の数字とリスクの重なり具合をもとに治療方針が決まります。「何となく不安」「でも元気だから様子見」という状態こそ、一度専門家に相談しておきたい段階です。
・冬の血圧・睡眠セーフティ総まとめ|40代からの8つのチェックポイント【保存版】 — 季節や生活シーンごとの血圧リスクを俯瞰して整理したいときに。
・冬だけ血圧が高いのはなぜ?薬剤師が教えるJSH2025準拠の安全対策と正しい測り方 — 「冬場だけ高い」ケースの考え方と対策の基礎を押さえたい方に。
・冬の血圧が高い理由は“測り方”にあった!薬剤師が教えるJSH2025準拠の家庭血圧の測り方 — 受診前に整えておきたい家庭血圧の測定ルールを確認したい方に。
まとめ
1)最新のガイドライン(2025年版)では、診察室血圧の目標値は「130/80 mmHg未満」が基本の目安。ただし薬の開始・調整は、家庭血圧・症状・リスクを踏まえて主治医が総合的に判断する。
2)「まだ薬は早い」と一人で悩むよりも、1〜2週間分の家庭血圧と体調メモをそろえて受診・相談することで、無駄な不安や様子見の時間を減らせる。
3)薬を始めるかどうかは「0か100」ではなく、生活習慣の改善と薬物療法を自分のリスクに合わせて組み合わせていくプロセス。迷ったときは、医師や薬剤師と一緒に「ちょうどよい落としどころ」を探していきましょう。
(PREPのP:薬を始める・始めないを一人で決めるのではなく、家庭血圧と血圧手帳を“共通のメモ帳”にして、主治医や薬局と一緒に考えていくのがおすすめです。)
1)上腕式家庭血圧計 — 朝・就寝前の血圧を自宅で把握でき、受診時の診断・治療方針の判断材料になります。
2)血圧手帳(紙 or アプリ)— 数値だけでなく、体調や生活の変化もセットで残せると、主治医や薬剤師との話し合いがスムーズになります。
※商品は一例です。ご自身の体調・生活スタイル・予算に合わせて比較・検討してください。
Q&A
Q1. 血圧の薬を始めたら、一生やめられませんか?
(回答)必ずしも「一生やめられない」とは限りません。ただし、高血圧は慢性的に付き合っていく病気であり、途中で生活習慣が戻れば、再び血圧が高くなる可能性があります。薬を減らす・やめるタイミングがあるとすれば、生活習慣の改善が十分に続いていること・家庭血圧が安定していることが条件になります。その判断は必ず主治医と相談して行ってください。
Q2. 40代で薬を始めるのは、やはり早すぎますか?
(回答)「年齢が若いから」という理由だけで治療を先延ばしにすると、将来の脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高くなる可能性があります。大切なのは年齢ではなく、家庭血圧・診察室血圧・合併症・生活習慣などを含めた“トータルのリスク”です。迷う場合は、「このまま薬を使わずに5年・10年過ごした場合のリスク」と「薬を使いながら生活改善をする場合のメリット」を、主治医に具体的な数字やイメージで聞いてみるとよいでしょう。
出典
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。
症状が続く・急激に悪化する場合や不安が強い場合は、自己判断で対応を続けず医療機関を受診してください。
商品・サービスの利用により得られる効果には個人差があります。


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