ヒートショックを避ける冬の入浴術｜湯温41℃以下・10分以内の目安とは

まず結論

冬の入浴は「気持ちいい」だけでなく、血圧にとっては負担にもなりえます。目安は湯温41℃以下・10分以内・脱衣所20℃前後。さらに入浴前後の水分補給と家庭血圧の記録をセットにすると、安全度がぐっと高まります。

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なぜ起こる？

日本では、冬場の入浴中の事故が多いことが報告されています（例：消費者庁の注意喚起など）。寒い脱衣所から暖かい浴室・湯船へ、さらに水分不足や飲酒・疲労が重なると、血圧が大きく上下しやすくなります。とくに高血圧や心臓・血管の持病がある40代以降では、この「急な血圧変動」が、めまい・失神だけでなく、心筋梗塞や脳卒中などのリスクにつながることが懸念されています。

一方で、ポイントを押さえて入浴すれば、リラックスや睡眠の質の向上など、良い面も期待できます。大切なのは「どのタイミングで・どれくらいの温度差がかかるか」を知り、血圧の変動をできるだけ小さくすることです。

体の中で何が？

人の体は、寒い場所に出ると「交感神経」が優位になり、血管がぎゅっと縮んで血圧が上がりやすくなります。逆に、40℃前後のお湯に入ると血管が広がり、いったん血圧は下がりやすくなります。このように、冷え→温め→急に冷やすを繰り返すと、血圧がジェットコースターのように大きく上下してしまうのです。

血管や心臓にとって負担になるのは、「常に高い血圧」だけでなく、短時間に大きく変動することです。寒い脱衣所・熱すぎるお湯・いきなりの水風呂は、この“振れ幅”を大きくしやすい要因です。そこで本記事では、できるだけゆるやかに温度を変える工夫や、水分補給のコツをお伝えしていきます。

今日からできる工夫

入浴前の準備（脱衣所20℃・水分・体調チェック）

• 脱衣所/浴室の温度を確認し、できれば20℃前後まで暖めてから入る。
• 入浴の15〜30分前を目安に、水やお茶で200〜400mL補給する。
• 「今日は疲れが強い・飲酒した・体調がすぐれない」と感じる日は、無理をせず見送る。

入浴中のポイント（湯温41℃以下・10分以内）

• 湯温は41℃以下を目安に、肩までつかる時間は10分以内にする。
• のぼせそう・動悸・息苦しさを感じたら、すぐに湯船から出て休む。
• 洗い場との温度差が大きい場合は、シャワーで肩・背中を少し温めてからつかる。

入浴後の注意点（立ち上がり・水分・血圧記録）

• 浴槽から立ち上がるときは、一度ふちに腰かけてからゆっくり立つ。
• タオルドライのあと、もう一度200〜400mLを目安に水分をとる。
• 高血圧や持病がある人は、気になる期間だけでも入浴前後の家庭血圧を記録しておく。

よくある勘違いと注意点

• （誤解1・最も危険）「お酒で温まってから風呂へ」：飲酒後の入浴は、ふらつき・転倒・不整脈・溺水などのリスクが大きく高まるとされています。アルコールが抜けるまでは、湯船につかる入浴は控えましょう。
• （誤解2）「熱いお湯で一気に温まった方が健康」：温度差が大きいほど血圧の振れ幅が大きくなり、負担になる可能性があります。少しぬるめのお湯で、時間を短めにするほうが安心です。
• （誤解3）「自分は若いからヒートショックは関係ない」：40代でも、高血圧や糖尿病・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群などがある場合は注意が必要です。不安があれば、まずは脱衣所の温度と入浴時間を見直しましょう。

まとめ

Q&A

Q1. 何度から「熱すぎる」と考えた方がいい？
（回答例）一般には41℃を超えると負担が増えやすいとされますが、持病や体調で変わります。迷う場合は「ぬるめから」始め、主治医とも相談を。

Q2. 入浴前後の家庭血圧は毎回測った方がいい？
（回答例）毎回でなくても構いませんが、体調が気になる期間に数日連続で前後を測ってみると、自分の傾向がつかみやすくなります。

出典

• 消費者庁, 冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!
• 政府広報オンライン, 交通事故死の約3倍？！冬の入浴中の事故に要注意！
• 日本高血圧学会, 家庭で血圧を測定しましょう